「冷え」とは

東洋医学の概念である「冷え」

「冷え」という概念は東洋医学を代表する漢方医学に特有のものです。

 

漢方では病気を診る前に、その人の体全体を診ます。
その人の体質や暮らしぶりがどんなものであるかを、まず把握しようとします。

 

人それぞれに体質や特徴があり、その延長上に病気が存在する、と考えるからです。
そして、その体の全体像を効率よく分析するために、体を構成している物質を、「気」「血」「水」の3要素で捉えます。

体の冷えは、自律神経やホルモンバランスの乱れを招く

人間の体は非常に良く出来ていて、体のどこかに不具合が出てくるとそれを自分の力で調整して、体を健康な状態に保とうとします。

 

ですから健康な人であれば、もし体が冷えてきたら「体が冷えてきたぞ、温めろ!」と脳から指令が出て、全身に十分な血液を巡らせ、体温をキープしようとします。

 

体がもともと持っているこの体温調節機能がうまく働かなくのは、自律神経やホルモンバランスが乱れるからです。体温は、体表の毛細血管を収縮したり緩めたりすることでコントロールされていて、毛細血管を収縮させるのは交感神経、緩めるのは副交感神経です。

 

この2つの自律神経のバランスが崩れると体温がうまく調整できません。また、自律神経とホルモンをコントロールするのは、脳の中枢にある視床下部という同じ場所です。
そのため、ホルモンバランスの乱れは自律神経の乱れを招きやすく、冷えうを起こしやすいのです。

 

人間が生きていくために必要なエネルギーの多くは、筋肉の中で作られています。筋肉の量が少ないということは熱を作る場所が少ない、足りないということです。ですから筋肉の量が少ない人は冷えやすいでしょう。
貧血症などの病気がある場合も、酸素不足で体が冷えます。

 

何といっても生活習慣の乱れが大きな問題なのです。
最近、冷えに悩む人や低体温の人が増えているのは冷房の使いすぎ、おしゃれを優先した薄着のファッション、冷たい食べ物や飲み物を日常的に摂り過ぎていたり、睡眠不足、ストレス過多の生活など、現代人の生活習慣が大きく影響しているのです。

「気」「血」「水」とは

「気」とは、現在の私たちには計測することの出来ない、一種のエネルギーと呼ぶべきものです。
漢方では気を生体における機能活動、精神活動そのものと解釈します。気が十分にあり、正しく活動している状態を「正気」といいます。
気が不足したり十分に活動できなくなる状態を「病気」といいます。

 

「病は気から」というコトワザはこのような概念から生まれているのです。

 

「血」は文字通り血液を指します。
「水」は体内に存在する水分、つまり体液のことです。

 

血と水はともに体の中を巡り、潤し、栄養を与える働きをします。
漢方では赤いものを血と呼び、透明なものを水と呼ぶのです。

 

「冷え」は、この「気」「血」「水」のバランスが乱れることから生じます。

 

気が足りない、血が足りない、水が足りない。
そんなことが原因になって体の熱が下がり、本来の機能を果たせなくなるのです。

 

「気」が足りないエネルギー不足の状態を「気虚」、血が足りていない貧血状態を「血虚」、そして血が滞っている状態を「おけつ」といいます。

 

漢方において、ほとんどの「冷え」はこの「気虚」・「血虚」・「おけつ」が原因であるとされています。

 

西洋医学では「冷え」をどう見てみてきたか?

西洋医学では「冷え」の概念がありません。

 

では西洋医学では「冷え」をいったいどのように解釈してきたのでしょうか?

 

西洋医学では、「冷え」を、「一種の循環不全であり、血流の不足、あるいは代謝の低下によって起こる熱産生不足である」と考えます。

 

人間の体は、つねに血液が循環しています。ぐるぐると回りながら、血液は体の隅々まで栄養分や酸素を送り届けます。体の各部位はそれらに栄養分や酸素を使ってタンパク質の合成や分解、代謝をします。その時、同時に熱を産生します。さらに代謝によって生じた老廃物を、血液が運び出します。

 

ところが何らかの原因で循環が滞ると、このシステムが一気にダウンしてしまいます。栄養も酸素も届かないので細胞が活発に働かず、熱産生率も低下して、体温が低下します。老廃物を運び出せないので血管が詰まりやすくなり、さらに血行が悪くなります。

 

また、体温が低くなると酸素の反応が鈍ります。代謝や免疫をつかさどる酵素の働きが鈍ると、それによって生活習慣病へのリスクが高まります。その最たるものがガンです。

 

ある部分の血流が悪くなると、その部分は冷たくなります。こうした状態を「冷え」と呼んでいるのですが、ダメージは冷たさだけにとどまりません。さまざまなトラブルが引き起こされます。

 

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